心室期外刺激のEPSの際にまず最初に意識すること

今回の記事では

心室期外刺激のEPSを勉強する際にまず最初に意識したら良いこと

というテーマを記事にします。

最初にEPSを始めた時って、カテ室で飛び交う色々な知らない用語や周りの先生方の動体視力の良さに絶望したりしませんか?

「おいおい…みんなの動体視力…どうなってるんだよ…」

もちろん私もそうでした。というより、現在進行形でそうです(真顔)

ただどんな分野でも最初のとっかかりになるものってあると思います。そこから知識を肉付けしていくイメージですよね。

そこで今回は、まずEPSレベルがほぼ0に近い超初心者(心室期外刺激編)がレベル1になるために、最初に意識しておくと良かったなぁということについて書いていきます。

ちなみにこれは過去の私を救うコンテンツとして書いています。

それはズバリ

心室のERPとVA伝導のERPの区別を意識すること

です。

心室期外刺激中やカテレポートを書いている際に、頭がごちゃごちゃしてしまうのはERPが原因であることが多いと思います。そうです、だいたいこいつが全部悪いんです。

ただ

カテ室では「(心室の)ERP」と「(VA伝導の)ERP」という言葉が混在して使われている

ということに気付くと流れが理解しやすくなりました。

ということで最初にここを意識するのが心室期外刺激編の第一歩だと思いますので、ここを意識すると良いと思います。

心室のERPとVA伝導のERP

まずは今回はEPSの設定をこちらのようにお示しします。

PCL 600でVA伝導あり
心房最早期興奮部位(EAAS)はHis領域

EAASがHis領域のVA伝導は減衰伝導特性あり


この症例に心室期外刺激を行いました。600-310の画像を以下に示します。

そして600-300になった時にカテ室で「ERP」という声が聞こえたとします。

その場合大きく2つのパターンがあります。

この2つです。このちがいについて、説明できるでしょうか?

ここを説明できるのが、EPSの心室期外刺激編の最初のとっかかりだと思います。

それぞれ解説します。

こちらはVA伝導のERPです。

pacingによりV波は認めるものの心房は捕捉されておらず、VA伝導が途絶しているからです。

つまりjump upや別のsequenceのVA伝導を認めていないため、VA伝導はfast pathway 1本であろうと推測できます。

この場合600-290などにcoupling intervalをつめていっても、得られる情報は心室筋のERPくらいなのであまり得られる情報は多くありません。(Gap現象でVA伝導がでる可能性はあるかもしれません。)

こちらはVのERPです。

pacingによりV波そのものが出現しておらず、心室筋が反応できていない状態だからです。

この場合はVA伝導がERPを迎える前にV波そのものが出現していないため、VA伝導を評価しきれていません。

例えば今回の場合、fast pathwayであろうVA伝導が切れたらjump upして二重伝導路が出てくるかもしれません。なのでもう少し違う方法で房室結節に負荷をかけてVA伝導のERPまで評価できればよいです。

この場合どうやって負荷をかけるかというと、ここで出てくるのが2連刺激です。


S2をVのERP前に設定してS3のcoupling intervalを縮めていくことで、VA伝導にさらに負荷をかけることができ、評価を継続することができます。

そのため

VのERPとVA伝導のERPは別の概念である

ということを認識するのが心室期外刺激を理解するうえでの肝だと思います。

というか私はそうでした。

応用編

では、応用編として別なものを考えてみましょう。

600-410の心室期外刺激でこういう状態だとします。

600-400の心室期外刺激でVA jump (HA jump)が起こったとします。

このVA②はCS osが最早期興奮部位でした。

Coupling intervalを310まで縮めたところ、VA②は減衰伝導特性があるようでした。

そしてCoupling intervalを300まで縮めると以下のようにVのERPになりました。

この場合はVA伝導を評価しきれたとは言えません。もしかしたらもっと房室結節に負荷をかけることで、VA②がERPになった場合VA③が顔を出すかもしれないからです。

それではこの場合どうやって房室結節に負荷をかければよいでしょうか?考えてみましょう。

例えば先ほど紹介したようにS2をERPの前に戻して、350-350にするとこういう感じになったりするかもしれません。

S3が心房を捕捉できていれば評価を継続できるのでしょうが、S3が捕捉できない場合もあります。

そのため、こういう場合にはS2のcoupling intervalをVA①のERPより長めに設定することで、じわじわ評価を進めていくのも良いかもしれません。

この辺のやり方は人によって違うかもしれませんが、S2をVA①のERP前に設定するとスムーズに評価できると思います。

まとめ

今回の記事では

心室期外刺激のEPSを勉強する際にまず最初に意識したら良いこと

というテーマで記事を書いてみました。

当たり前すぎるのかもしれませんが、私としては

心室のERPとVA伝導のERPの区別を意識すること

が最初のとっかかりになりましたので、このブログを通して過去の私を救ってあげたいと考えています。

「どこから手をつければいいのかわからん」と悩んでいる方の最初のとっかかりになれば幸いです。

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